サザンオールスターズ/愛の言霊〜Spiritual Message〜 /レビュー

4.5
サザンオールスターズ

この記事では、24年間ファンを続けている私による、サザンオールスターズのシングル「愛の言霊〜Spiritual Message〜」のレビューをシェアします。

収録曲

  1. 愛の言霊ことだま 〜Spiritual Message〜 (5:39) [作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ SAX SOLI編曲:山本拓夫]
  2. 恋のジャック・ナイフ (4:37) [作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ]

「01:愛の言霊ことだま 〜Spiritual Message〜」レビュー

この曲は、アルバム『Young Love』制作にあたって、とっかかりとして作った曲なんだそうです。リズム楽器は桑田佳祐だけで打ち込んだようですね。

ミクスチャーという奴でしょうか、とにかく色々なジャンルの音楽要素がごった煮となっていますね。まず、アイルランドっぽいシンセの音。これは「Bye Bye My Love(U are the one)」や「愛撫と殺意の交差点」にもでてきました。ラテンなガットギターは小倉博和が。パーカッションやリズムはレゲエとかサンバっぽいですし、間奏はウォーキングベース+スキャットで似非ジャズ風味。

更に、ループする感じはヒップホップを意識していたんだとか。4:45あたりにスクラッチのSEが入っています。桑田佳祐の似非ラップもあるし、本当にごちゃまぜです。この頃の桑田佳祐は、とにかく今風にしなければという強迫観念に駆られていたようです。

間奏の完成度の高さは、『kamakura』や、小林武史との仕事で培ったものが見事に結実していますね。エレピソロ、ラップ、パーカッション、左右のチャンネルの駆使、様々な楽器が現れては消えていくめまぐるしい展開のなかで、最後は全てのパートが連動して高揚感を生み出しています。

間奏後は転調してのループですね。この転調のせいか、テンポが速くなっているように体感します。転調といえば、桑田佳祐はBメロで転調するのが好きですね。あと、サビにおける一人多重コーラスの洗練された分厚さは、山下達郎から直伝され、小林武史からミックスやエフェクトの肝を吸収して以来、毎度おなじみの得意技です。

歌詞は純和風ですが、シンセなサウンドとの調和は「JAPANEGAE」で発明したスタイルですね。更に、「生まれくる叙情詩(せりふ)とは」の「とぅわ」、とかの歌い方は、フランス語とかスパニッシュな感じです。「挿話」にエピソードとルビを振るのが粋でいいですし、「エンヤコーラ」のアイデアもいいです。

インドネシア語のラップは、梅田英春という人がクレジットされています。この人は芸大の助教授で、民族音楽学と文化人類学が専門なんだそうです。桑田佳祐と元々交流があったというよりは、ワールドミュージックのミクスチャーというテーマを決めてから、探し当てた人物だったように思います。歌っているのがこの人なのか、桑田佳祐なのかは分からないです。歌い回しは桑田佳祐ですが、わざわざ音楽畑の人を連れてきたのですから、この人が歌っているとも考えられます。あと、ラップの最後は「神を探した僕」的な、日本語っぽく聞こえるところがありますね。空耳を狙ったのか、本当に日本語で歌っているのか、どちらなのでしょう。

「禮(らい)」というのはよくわかりませんが、法のようなものらしいです。小が大に仕え、大が小を慈しむこと。法が物事があった後の規範的なものとすれば、禮は物事が起こる前に予防する規範的なものだとか……? 韻は、「ヤーレンソーラン」と「湘南浪漫」、「カゴメよカゴメ」と「遊べよ遊べ」、「童っぱ」と「ラッパ」、「What」と「Cha」で踏んでいますね。擬音を歌詞に埋め込むのが上手い。言葉遊びという点においてはかなり完成度の高い歌詞ですが、これだけのオケがつくれたのですから、気合いが入るのもわかります。

ライブではインドネシア語ラップを省略するアレンジがされています。あと、ギター担当が小倉博和になったとき、ホーンと絡んだ格好いいアレンジが加えられていました。とにかく、バッキングギターの音作りからして格の違いを見せつけていましたね。そういえば、そもそも原曲にはエレキは入っていません。ちなみにライブでの桑田佳祐は、いつも「時間よ止まれ」と「ここに幸あれ」を間違え「こきゃんよ止まれ」と歌っています。

こういうミクスチャーな感じって何ジャンルっていうのでしょうね。『さくら』期の曲群に比べるとまだ薄さが残っていますが、あれら情報量の多い曲を作っていくきっかけとなった重要な曲だと思います。

参加ミュージシャン

愛の言霊 〜Spiritual Message〜

桑田佳祐:Vocal, Guitar
大森隆志:Guitar
原由子:Keyboards、Chorus
関口和之:Bass
松田弘:Drums
野沢秀行:Percussion
小倉博和:Gut Guitar
山本拓夫:Tenor & Baritone Sax
梅田英春:Indonesian Rap
角谷仁宣:Computer Operation
小林克也:SPECIAL THANKS

恋のジャック・ナイフ

桑田佳祐:Vocal, Guitar
大森隆志:Guitar
原由子:Keyboards
関口和之:Bass
松田弘:Drums
野沢秀行:Percussion
角谷仁宣:Computer Operation
川崎悦子:SPECIAL THANKS

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