サザンオールスターズ/HOTEL PACIFIC レビュー

4.5
サザンオールスターズ

この記事では、24年間ファンを続けている私による、サザンオールスターズのシングル「HOTEL PACIFIC」のレビューをシェアします。

収録曲

  1. HOTEL PACIFIC  (4:44) [作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 管編曲:山本拓夫]
  2. 虫歯のブルース ~ インディアン狂想曲 [MEDLEY] (4:50) [作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ]

「01:HOTEL PACIFIC」レビュー

「HOTEL PACIFIC」は、2000年夏開催・茅ヶ崎ライブへ先駆けてリリースがされました。

題名は、昔茅ヶ崎にあったホテル「パシフィックホテル茅ヶ崎」の名前からです。加山雄三が経営していたのだそうです。

「夏をあきらめて」の歌詞にも登場しておりまして、茅ヶ崎ライヴではそこを強調して歌っていました。

パシフィック・ホテルとせずにホテル・パシフィックとしているのは、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」から。

この曲は楽器の選び方、音量のバランスなど、なかなか丁寧に作られた曲なのではないでしょうか。コンガ、ギロ、ピアノ、フルート、ブラスなどが使ってありますが、歌謡曲の雰囲気をうまく引き出せていると思います。コーラスに原由子が参加しているのも、スタジオ録音感が減り、ライブ感が出て、高揚感につながっているかと思います。原由子の声は桑田佳祐の声にはあまり溶け込まず、とても自己主張が強い声だと思いますが、そこがサザンっぽさの演出につながっていると思います。

ギターは全て桑田佳祐が弾いてます。ベタベタなギターソロが、曲調とマッチしていますね。何故か早弾きしているのがダサ格好いい。

ドラムは、「愛渚に今日も寄せては返すでしょうか」のブレイク部分が好きですね。Aメロでのハイハット開閉のアレンジなどは松田弘ドラムの面白いところで、曲を飽きにくくさせています。ベースは無難すぎてつまらないですが。

あと小ネタとしては、PV撮影をしている時や発売直前の時などに、突然「ボーカルの音量を上げたい」といったり「ギターを録り直したい」といったりしてスタッフを困らせた逸話があるらしいです。このボーカルの音量を上げたという出来事が、良し悪しは抜きにしてある種の転機になっています。「TSUNAMI」までは、ボーカルは他の楽器に埋もれるようミックスしていたんですが、この曲をきっかけに「この青い空、みどり」「波乗りジョニー」とボーカルの大きな曲がずっと続いてゆくからです。

歌詞は、「エボシ岩を見つめながら夜霧にむせぶシャトー」のくだりが上手いと思います。ただのホテルを徹底的に美化しているところが。一回目のBメロや、「なーみだのー、パシフィークホテール」の歌い回しなんかがいいですね。こういった、Bメロで高音&延びるメロにして、サビで歌詞を詰めまくるタイプの曲は、桑田佳祐のいわば手癖みたいなものなのでしょうね。

ちなみに、この曲はWOWOWのCMに使用されていますが、これは十年以上前に流行った小川ローザ出演のCMのパロディです。あと、「イエローマン」に続いて振り付けがありますが、今回の振付師は藤井隆の「ナンダカンダ」と同じ人です。こういった、売り出し方のコンセプト込みでよく出来たシングル曲だったと思いますね。

あと、以下、レコーディング日誌というコンテンツが過去、公式サイトで公開されていました。ご参考までに。

「HOW WE LIVE IN SAS DAYS」

それから、補足情報として、サザンのベースの関口和之が、 HOTEL PACIFIC をカバーしていて、これがとてもよくできています。アルバムを通してサザンの様々な楽曲をカバーしています。名盤だと思います。参考までにご紹介します。

[02:虫歯のブルース ~ インディアン狂想曲 [MEDLEY]]レビュー

この曲はメドレー形式になっていますが、サザンでは数回目の登場ですね。(「ファイブ・ロック・ショー」「夕日に別れを告げて~メリーゴーランド」「BOON BOON BOON~OUR LOVE」)

前半の「虫歯のブルース」に関しては、「どういう時に歯から血が出るかな」と桑田佳祐が尋ね、「鉄アレイ齧ったらじゃないですか?」とスタッフが意味不明な受け答えをしてこの歌詞が出来たんだそうです。カウントの声は松田弘でしょうか?

後半の「インディアン狂想曲」については、ワンコードだったりしてて、全体的にポップな「Tomorrow Never Knows」っていう印象を受けます。コーラス(インディアン?)も意識してます。ポール・マッカートニーの笑い声を逆回転させた、っていうあれですね。

「たまにはこういったギター一本で出来る曲もいいじゃないかと思った」とは桑田佳祐談。これは大森隆志も参加してそう。でもまあ、ギターよりもドラムのノリに引っ張られている曲だと思いますね。スネアの音が格好いいです。あと、この曲のラフなボーカルスタイルは結構好きです。最後のAメロでの歌い出しもいいですね。途中のビートルズっぽい一人コーラスは、「Young Love」の使い回し。

「おやすみのチューをしよう」の部分では吸いつくSEを入れていますが、巫山戯まくってますね。あと、最後にジョン・レノンとは似ても似つかない表現でラブ・アンド・ピースが登場してます。「そして戦争で死ぬのはやだ/愛する人たちと生きるのが好きなんだもん」の部分がそうですが、ここには戦争のSEが入っていますね。細かい。

歌詞については、Space&Timeは四次元、受像器はテレビ、Rhapsodyは狂想曲のことのようです。また、「Lonely」、「Story」、「Whisky」、「Coffee」で、「Romance」、「Distance」で韻を踏んでいますね。

あと、語りの部分って、歯医者っていう裏設定とか、噛み合っていない会話とかがナンセンスの極みって感じですね。

ここでの関口和之っていい声してます。語りでは、「Hey!Ryudo!(ヘイ! リュード!)」以来の出演ですね。ライブで演奏する時には、原曲の関口和之の語りの代わりに、演奏途中に関口和之がくだらないことを喋る、という演出が入ります。

この曲を聞くたびに、私は『Young Love』期の雰囲気を思い出します。「LOVE KOREA」とかあの辺りの。音質や歌詞やボーカルスタイル、そしてなにより脳天気な明るさに、気持ちいい既視感を感じてしまうのです。

参加ミュージシャン

HOTEL PACIFIC

桑田佳祐:Vocal, Guitars
大森隆志:Guitars
関口和之:Bass
松田弘:Drums
原由子:Keyboards
野沢秀行:Percussion
角谷仁宣:Computer Programming
山本拓夫:Tenor Baritone Sax, Flute, Clarinet
包国充:Tenor Sax
荒木敏男:Trumpet
西村浩二:Trumpet

虫歯のブルース 〜 インディアン狂想曲 [MEDLEY]

桑田佳祐:Vocal, Guitars
大森隆志:Guitars
関口和之:Bass
松田弘:Drums
原由子:Keyboards, Vocal
野沢秀行:Percussion
角谷仁宣:Computer Programming

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