環境の変化に伴い、M&Aによる企業再編などが増加しています。
日本企業が関与するM&A件数は、2012年から2019年まで8年連続で増加傾向にあり、2020年には一時的に減少しましたが、2021年と2022年には過去最多を更新しています。
そのような中、大企業に勤めておられる方で、所属事業が子会社化され、そのまま出向を命じられ、さらには当該子会社が他社に売却されたり、当該子会社への転籍を打診されたりした方、少なくないかと思います。
しかし、転籍するかどうかは、各種条件を定量的に評価した上で、慎重に意思決定するべきです。
本記事では具体例を元に子会社への転籍を拒否したケースを紹介します。
大企業から子会社への転籍はすべきではない理由
Zさんのケース 基本情報
Zさんは、大企業Aに雇用されていて、子会社Bに出向していました。
当該B社が、別の大企業Cに買収され、Zさんを含む、出向者全員に対し、B社への転籍が打診されました。
B社の総資産は、雇用主であるA社の総資産の約300分の1です。
会社の規模 | (旧)子会社B との関係 | (新)子会社B との関係 | Zさんとの 関係 | |
大企業A | 300 | 親会社 | 雇用主 | |
子会社B | 1 | 出向先 | ||
大企業C | 150 | 親会社 |
Zさんが提示された早期退職の条件とは
子会社Bから提示された、転籍後の給料提示額は対現状比3割減でした。
大企業Aから提示された早期退職金の割増金額と、子会社Bに転籍後に定年時に得られる退職金と合算すると、A社定年まで勤め上げた場合に得られるはずだった退職金を数百万円上回る金額になります。
ただし、Zさんは年齢がまだ若いため、退職金控除も少なく十分な金額控除されません。
ポストは現状と同格。
以上を踏まえ、影響額を総合計算しました。
割増退職金の増、給与の減、給与減に伴う厚生年金の減、転籍後の諸手当・福利厚生の減、入金の減少に伴う投資の運用益の減、児童手当などの各種補助金の所得制限がなくなる増、ふるさと納税で貰える返礼品の減などを計算。
その結果、転籍した場合、80歳時点で、昇進なし条件にて、少なくとも累計約6,000万円損をすると計算されました。
昇進した場合はもっと損をします。
このような計算は自作のエクセル式のシミュレーターで計算しました。
シミュレーターの詳細は次の記事を参照ください。
Zさんが最初に考えたこと
Zさんは正直、このような条件で大企業Aの正社員を引き抜き出来ると思ったB社の会社役員は、馬鹿なのか、と思いました。
そもそも、大企業Aの正社員を、300分の1規模のB社が、「あなたの力が必要です。是非わが社に来てください」と言ってヘッドハントするに際し、現状の3割減の給料を提示して、成約できるわけがありません。
現在、現実に存在している日本国内の、転職市場のマーケットのことを考えれば、普通にこれがおかしな条件提示であることがわかるはずです。
福利厚生や安定性が見劣りする、格下の会社なのだから、給与は数割増しにしないと引き抜き等できないはず。
大企業Cは大企業Aよりも半分くらいの大きさであり、小さいが、まあ大きな会社です。
大企業Cが引き抜きを打診するならまだ話は分かります。(会社四季報上から得られる平均給与の数値が現状比低いので、大企業Cに打診されても、契約はしませんが)
何故、子会社Bが大企業Aの正社員を、現状比安い給料で引き抜いて、雇用できると思ったのか。
馬鹿にされている、という直感を言語化するために、Zさんは色々思索を重ねました。
大企業と雇用契約を結ぶメリットとは
大企業と雇用契約を結ぶメリットについて考えます。
大企業とは、総資産の大きな企業のことであると定義します。
総資産が大きいほうが金は容易に稼げます。
極論、収益を自動的に生み出す膨大な資産(株・土地・特許等)を持っていれば、経営者や被雇用者が労働せずとも金が勝手に湧いてきます。
結果、大企業の被雇用者は自己が生産した価値以上の金を楽をして稼げます。これが大企業に雇用されるメリットだと考えられます。
具体例として、Zさんの親は同族会社を持っていますが、社員ゼロ、不動産や借地権などの資産がある、という資産管理会社です。
同社では、誰も労働をすることなく、保有資産から収益が生み出され、経営者・被雇用者・株主に利益分配されています。
大企業内には、このような収益構造が比較にならないスケールで存在しているはずです。
有名なのはフジテレビです。
収益の半分が不動産から得られています。フジテレビの社員がメディア事業にかかる労働で生み出した価値以上に、法人が持っている不動産で金が儲かっています。
こういった構造が、沈みゆく日本の、既得権益の象徴たる大企業Aにはあるはずです。
親会社に雇用されることと、子会社に雇用されることの違い
親会社に雇用されることと、子会社に雇用されることの違いについて、会社法を根拠に考えます。
親会社は子会社の株を50%以上保有しています。
なので、親会社は子会社の被雇用者の労働の結果生み出された利益剰余金のうち、持ち分比率分を、配当金という形で受け取ることが出来ます。
不労所得です。
当該不労所得である配当金は、親会社の債権者・経営者・被雇用者・株主に分配されます。
よって、子会社の被雇用者は、親会社の債権者・経営者・被雇用者・株主から、構造上搾取される存在であると言えます。
親会社の被雇用者もまた、株主・経営者・債権者等から搾取される人ではありますが、子会社の被雇用者よりは相対的にマシな立ち位置ということになります。
大企業Aを辞めて、大企業Cの子会社Bに転籍して、Zさんにメリットはあるのでしょうか。
子会社の被雇用者であるということ自体の、相対的なデメリットしか思いつきません。
考えれば考えるほど今回のオファーは意味不明です。
大企業は、正社員を解雇することが出来ない
大企業は事業売却時に、当該事業に従事する正社員を整理解雇することが出来ません。
法律面でいうと、2008年に施行された労働契約法16条があります。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
労働契約法
企業が整理解雇を行うためには、以下条件を満たす必要があります。
- 人員整理の必要性
- 解雇回避努力義務の履行
- 被解雇者の選定基準と合理性
- 解雇手続の妥当性
大企業は事業を売却したのちに、当該事業従事者を再配置する先が無数にありますし、新卒採用や中途採用を継続的に実施している以上、人員整理の必要性を合理的に説明することはできないと考えられます。
ですので、今回のように、辞めると被雇用者が損をして、雇用者が得をする条件で解雇の申し出をしても成約はしない、と冷静に現況を考えるべきです。
被雇用者が、雇用契約解除の合意文書にサインしない限り、雇用者の希望が叶うことは100%ありません。サインしなければよいのです。
解雇規制については、以下などが参考になります。
向井蘭 (編集)
転籍を断った場合に不利益な扱いをされる可能性は?
大企業AはZさんに次のような説明をしました。
子会社Bに転籍しなかった場合、大企業Aのグループ外への出向となる可能性が高い、能力に見合わぬ付加価値の低い仕事に配置されうる等、不利益な取り扱いになる恐れがある、と脅されました。
しかし、当該脅し文句はそもそも論理的におかしくて、脅しに聞こえません。
グループ外の、現状よりも給与の低い低付加価値な職種に出向となった場合でも、雇用主には現在と同じ賃金を支払う義務があるため、出向先の給与水準との差額は雇用主が補填する必要があります。
被雇用者としては現状よりも簡単な仕事を、現状よりも能力の低い同僚と比較評価されながらこなすだけで、現在と同じ給料を貰えるようになると想定されるので、不利益どころか得です。
脅しになっていません。
逆に見ると、この脅し、そもそも実行しても雇用主側のメリットがありません。
グループ内外問わず、基本、給与に見合った仕事をさせないと、雇用主側が損をするだけなので、例示した脅しのような配置をするはずがありません。
グループ外への配置自体、もそもそも考え難い。
グループ内の非正規雇用と入替したほうが、会社の利益を最大化をするに際し、計算上、得です。
雇用主である大企業Aの希少性を、統計データから試算する
Zさんは、大企業Aに雇用されているということの、希少性について数値評価してみました。
労働者のうち、上場企業に雇用されている人数は何人いるのか。
上場企業の中で、大企業Aの総資本や時価総額は第何位のレベルにあるのか。
当該レベル以上の上場企業に雇用されている労働者は何人いるのか。
全て、統計データで調べることが可能です。
ZさんはVBAでWEBスクレイピングするツールを作成して、WEB上に公開されている統計データを取得し、雇用主企業の位置づけについて調査しました。
調査結果、労働者の内、大企業Aクラス以上の企業に雇用されている人は、下表のとおり約1%くらいしかいないことが分かりました。
母集団 | >Zさんの所属集団 | 左記の 母集団内 比率 | 根拠 |
上場企業 | 平均年収800万円以上 | 8% | 東京商工リサーチ 2021平均年間給与 |
労働者 | 一部上場企業 (≒プライム上場企業)の被雇用者 | 4% | |
企業 | プライム上場企業 | 0.04% | |
プライム上場企業 の従業員 | 雇用主の売上高がプライム 上場企業内順位上位2%内 | 17.10% | |
(〃) | 雇用主の純利益が(〃) 上位5%内 | 27.50% | |
(〃) | 雇用主の総資産が(〃) 上位5%内 | 20.30% | |
(〃) | 雇用主の純資産が(〃) 上位4%内 | 27.60% | |
(〃) | 雇用主の時価総額が(〃) 上位5%内 | 28.40% | |
労働者 | 雇用主がプライム上場企業で、 かつ、売上高がプライム上場 企業内順位上位2%内 | 約0.8% | |
(〃) | (〃) かつ、純利益が(〃) 上位5%内 | 約1.2% | |
(〃) | (〃) かつ、総資産が(〃) 上位5%内 | 約0.9% | |
(〃) | (〃) かつ、純資産が(〃) 上位4%内 | 約1.2% | |
(〃) | (〃) かつ、時価総額が(〃) 上位5%内 | 約1.3% |
ネットで検索すると、大企業Aの就職倍率100倍強と出てきましたが、統計データが示した数値とおおむね一致します。
この希少性を踏まえると、仮に、子会社Bに転籍し、割増退職金を受取後、即時転職活動をしても、大企業Aクラスと同等の会社に転職できる可能性は低いと予測できます。
このようなクラスの企業に所属している人間はそもそも、辞めませんので、席も空きません。
現状を数値評価すると、大企業Aに雇用されているZさんは既得権益者そのものであり、既得権益は手放すべきものではないことが分かります。
自身の能力を、各種データから測定する
Zさんは、自分の労働者としての能力についても定量的な評価を試みました。
そして概ね、日本人の上位8%くらいの能力値だろう、と推定しました。
学歴から能力値を推定
まず、大学の偏差値から推計すると、 同世代の中の上位4%程度の能力値と推定されます。
具体的には、卒業大学の偏差値は63のため、大学進学者のうち、上位9.7%グループです。
更に、大学入学した2000年当時の大学の進学率は39.7%なので、同い年のなかの上位3.8%グループであると推定されます。
また、中学受験時の偏差値から推計すると、同世代の中の0.77%くらいの希少性があります。
具体的には、合格した中学校の偏差値は、1980年に63,2007年に56.5というデータがあります。受験年である1994年は、間をとって偏差値60と推定。
この場合、中学受験者のうち、上位約15.8%グループ。
中学入学年である1994年の私立中学の在学比率は4.9%。同い年のなかで、偏差値60以上の私立中学へ在学していた割合は、0.77%。
しかし、中学受験は参加者が少なすぎるので、本データは、必ずしも全労働者のなかの自分の優位性を確認できるデータではありません。中学受験の競争相手の中で、低くはない順位だったのだな、ということは確認できました。
IQから能力値を推定
IQも調べてみようと思い、WEBで受けてみました。
その結果、IQは日本人の中の、推定上位7.8%程度のようです。
具体的には、WEBで受けることの出来る、デンマークMENSAの受検結果が、IQ130でした。
Wiqtcom Inc.によるWorldwide IQ Test 2022において、日本人の平均IQは112.69、標準偏差が12.16です。
ですので、安全目に評価すると、当該デンマークMENSAのスコア130は、日本人の中では推定上位7.8%くらいと推定されます。
年収から能力値を推定
また現在の能力を図る指標として、現在の年収が、労働者の中でどのくらいの位置にあるのかも調べてみました。調査結果は下表のとおり。
母集団 | >管理人の所属集団 | 左記の 母集団内 比率 | 根拠 |
民間の 給与所得者 | 年収800万以上 | 10.9% | 民間給与実態統計調査 (令和4年分) |
(〃) | 年収800万円以上 (男性) | 16.8% | (〃) |
一般労働者 | 所定内賃金45万円以上 | 12.80% | 賃金構造基本統計調査 (令和4年分) |
(〃) | 所定内賃金45万円以上 (男性)) | 17.60% | (〃) |
統計データには賃金構造基本統計調査と民間給与実態統計調査の2種がありますが、どちらかというと、民間給与実態統計調査のほうが実態を表しているようです。
民間給与実態統計調査には、賃金構造基本統計調査と違い、個人事業主や、役員が含まれているためです。
民間給与実態統計調査によると、現在の年収が民間の給与所得者中、上位10.9%となっており、全労働者のうちの、自分の能力値の指標として参考にできそうです。
自身の能力値の推定まとめ
さて、大学偏差値、IQ、年収の指標を調査しましたが、このうち、大学偏差値の数値とIQの数値とを比較すると、IQのほうが数値が悪いため、労働者のなかでの位置づけを、データを根拠に自己評価するには、安全をみてIQを参考値として採択するのがよさそうです。
現在の年収が民間の給与所得者中、上位10.9%という数値を見ても、IQではかった位置づけ(上位7.8%)と極端には変わりません。
年収はそのうち、年功序列で昇給し、900万円を超えると思いますが、そうなると上位7.6%くらいになり、おおむねIQで測定した数値と同じになります。
なので、IQと年収を参考にし、全労働者の中の能力値として、大体上位7.8%あたりに位置づけられると考えておくのが大きなはずれがなさそうです。
結論として、労働者の1%しかいないクラスの大企業に、新卒カードで入ることができたのは、ただのまぐれであり、Zさんの能力値(労働者の上位8%程度か)を考えると、転職活動などをしても再現性がないとことが分かります。
転職市場での市場価値を把握する
転職市場での自分の位置づけについて、統計データによる推定をするだけではなく、実際の市場価値を把握するために、Zさんは転職サイトに登録をしてみました。
その結果、現在の転職市場価値は現在の実質年収1000万円(年収850万円+確定拠出年金+退職金積立額)の、3割減の700万円くらいではないか、と推計できました。
あと、当該現状比3割減の年収を確保するためには、転職後、管理職になる必要があることも理解できました。
一方、B社が提示した転籍後年収は500万円です。
B社の提示金額がおかしいことが客観的に確認できました。
また、管理職をやっているわけでもないのに、年功序列で、管理職比ローストレスな仕事をしているだけで、実質的な年収が1000万円近くになっている現状が、いかに恵まれた特権階級的な状況であるのかが、転職サイトに登録しただけで把握でき、非常に参考になりました。
Zさんは特に仕事で他人からの承認欲求を満たすことに興味はなく、
・労働拘束時間がいかに短いか
・自己満足できる形で仕事をできるか
が仕事での価値観上重要です。
中間管理職になるとその両方が現状比悪化するため、管理職にはなりたいと思えません。転籍後即転職してプラスになることはないな、と把握できました。
また、大企業Aクラスの求人は自分向けには皆無で、大企業Aクラスの子会社or大企業Aよりも格下の一部上場企業(大企業Cくらい)、という、子会社Bよりもランクが上の会社の求人が自分にマッチしていることが把握できました。
子会社Bは自分の市場価値よりも劣った就職先であることが、転職サイトに登録しただけで把握できました。
転籍はしないと結論した
一般大衆の選択
Zさんはこれまでに見てきた種々検討の結果、転籍はしないと結論付けました。
この条件で転籍するのは馬鹿しかいない。
ところが、転籍を打診された対象者(出向者全員)の、90%以上が転籍を選択したと知って、Zさんは馬鹿の人数比率に衝撃を受けました。
Zさんは、前項までに考察して分かってきた、今回提示された転籍条件の酷さについて、公式な場(説明会・職場内・労働組合内)で一切発言・指摘しないようにしていました。
再配置先のポストは限られているため、正しく現況認識ができず、転籍を選択する人が多ければ多いほど自分が有利になると考えていたためです。
とはいえ、ここまで多くの人間が馬鹿だったとは、驚きの結果です。
ただ、改めて偏差値やIQの正規分布のグラフを思い返し、日本人の100人中92人はZさんよりも馬鹿らしいので、この結果は当然かと得心もしました。
周囲を見渡してみたところ、まず、基本的な金銭的な損得計算が出来ない人が多いようです。
厚生年金の影響まで計算するのは困難だとしても、在職中の影響額の比較計算ぐらい、就業規則をもとに計算すればよいのに、する知能・行動力のない人が多い。
なので、例えば同年代のケースでいうと、生涯で6,000万円ほど損をすることを、認知せず意思決定した人が相当いるように感じました。
転勤を嫌って転籍すると決断した人がいるようにも感じましたが、転籍先と結ぶ雇用契約が、結局、転勤可を前提としたメンバーシップ型雇用なので、意思決定として間違っています。
営業所は全国にありますし、海外勤務もありえる、社外出向もある、会社都合でどこにでも転勤させられ得ます。
あと、「仕方ない」などとコメントしている人がいましたたが、これも意味がよく分からない。
締結済の労働契約の継続協議について、雇用主と非雇用者の関係に優劣はなく、対等なため、雇用主が契約解除してほしいと言ってきたとしても、嫌なら合意しなければよいだけ、ということが理解できていない人が相当な数いるように感じました。
そもそも、現在の状況が、格下の会社からヘッドハントの懇請をされている、という状況であることを理解していない人が多いようです。
会社から、強制力を持った転籍「命令」が出たと勘違いをしている人がいるようです。
あと、前項までで記述したように、親会社から子会社に転籍するのはひどく非合理な意思決定であるのですが、会社法のことがよく分かっておらず、そのことが理解できていない人も多数いるように感じました。
転籍を拒否した人の処遇はどうなったか
さて、転籍を拒否した10%の社員は結局、想定していた通り、ほとんどが、グループ内の、キャリア・能力が生かされる職場に再配置されました。
Zさんは、そりゃそうなるだろうと思いました。
あと、子会社Bは比較的厳しい事業環境にあったため、大企業A本体ないしその他関連会社への配置転換であれば、まず間違いなく、相対的にぬるま湯のように楽な仕事になるはずだと想定していましたが、これも的中しました。
転籍をしかけた経営者は頭がよい
さて、Zさんは当初、このような条件交渉をしかけたB社役員は馬鹿だと思いましたが、実際には9割もの人間を転籍に合意させたB社役員はすごく頭がよいと、考えを変えました。
役員クラスの人間になると、従業員のうち、ほとんどの人間が馬鹿であることを、当然の前提として意思決定をしているのだとよく分かりました。
見えている景色が、Zさんのような兵隊とは全く次元が違うわけです。
馬鹿をだまして搾取するのは、やって当たり前の施策であり、成果もでるに決まっていると認知していた訳です。
馬鹿をだまして金儲けをする経営者が、資本主義社会における一番の強者なのだと確認した出来事でありました。
まとめ
- 早期退職の損得はきちんと計算し、数値評価しよう
- 子会社の社員は親会社に搾取される存在で、相対的に不利
- 大企業は正社員を整理解雇できない
- 大企業の社員は、大資本によって楽をしてお金を稼ぐことが出来る
- 統計データを使って、雇用主の希少性と、自分の労働市場での希少性を評価したほうがよい
- 転職サイトに登録すると、実際に転職活動しなくとも、ある程度自分の労働市場価値が推定できる。
以上を踏まえて、転籍するか否かを判断しましょう。
いかがでしたでしょうか。参考になれば幸いです
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