GRAPEVINE/そら レビュー

GRAPEVINE

この記事では、25年間ファンを続けている私による、邦楽ロックバンドGRAPEVINE(グレイプバイン)の、シングル「そら」のレビューをシェアします。

概要

「そら」 は、GRAPEVINEの1枚目のシングルです。1997年12月3日に発売されました。

また、2000年3月15日にマキシシングルとしてリマスター版が再発されました。

収録曲

  1. そら
  2. 坂の途中

1:そら

データ

作詞:田中和将

作曲:西原誠

時間:5:52

ミュージックビデオ

レビュー

全般

この曲は、GRAPEVINEのファーストシングルです。後に『退屈の花』というアルバムに収録されました。

この曲がリリースされた時点で、前作であり、メジャーデビュー作のミニアルバム『覚醒』にあったボーカルの弱さ、ミキシングのバランスの悪さなどが大分改善されたと思います。

作曲者は西原誠(Bass)です。この人は毎回変なメロを作りますね。

この当時のGRAPEVINEは、曲を作るとき、大まかなアレンジを宅録してからメンバーに発表し、その後にセッションして組み上げていたんだそうです。

リズム

リズム隊であるベーシストが作曲したからでしょうか、この曲のハイライトはなんといってもリズムです。基本パターンからしてひねっていますし、Bメロ、サビのしつこいブレイクがすごい。

リズムといいましたが、全編を通してベースが面白いです。わざと変な溜めかたをしているんですが、これによるグルーヴが最大の聞き所ですね。

ベースラインもいいです。イントロなんか、ただ音符があがっていっているだけなのに、前半との組み合わせだけでああいった独特のラインになるんですね。

ギター

ギターに関しては、西川弘剛は音楽的精神的にXTCから強い影響を受けているようでして、ひねくれたギターを弾きますね。だからこの曲のリフなんか、リフとして成り立っているのか成り立っていないのか分からないくらい変です。

ギターソロもどこか変です。西川弘剛はアレンジに興味があるようで、リフやバッキングを凝るわりにソロは作り込んでません。スケールを短音で追うタイプのソロは、作り込んでもみんな同じになる的な考えを持っているようです。ということで、ソロは起承転結の結だけはつけていますが、それ以外はアドリブっぽくて予定調和なところがないです。自分の変な手癖もちゃんと計算してやっていますね、これは。といっても、ただ変にするだけではなく、メロディアスにするバランス感覚も併せ持っています。さすがはXTCファンです。

味付けにアコギを入れてたりもしていますね。

歌詞

それから歌詞に関してですが、田中和将はボブディランのようにフレーズごとで韻を踏むのではなく、メロの終わりごとで子音を統一させようとだけしていますね。

この曲の歌詞のテーマは、非常にパーソナルなものです。

上手いとな思うのが、読みとる側の人間によって、どうとでも解釈しうる構造にしてある点です。

例えば『「今はサラサラよ」なんて僕には理解不可能で』というセンテンスがありますが、これが良い例です。

他にも、「君」という言葉が出てきたりしますが、自分のことだとも他人のことだとも取れ得ます。あと、直接的な言葉を使わず、テーマを「そら」という言葉に託していますね。

ルーツ的には坂口安吾の「堕落論」とか、文学の影響が大きいようです。

この曲は、今では考えられないくらい神経質に歌入れしてますね。ハモリのタイミングなんかも完璧です。

歌い方については、『Lifetime』においてボーカルスタイル的に化け、『Another Sky』において発声的に化けたことを考えると、びっくりするくらい素直に歌っています。

元々田中和将はボーカリストじゃなくギタリストだったらしいですが。

まとめ

それにしても、この曲はシングル曲にしては長いです。6分もあります。もし8ビート、単純な循環コードの曲でこれだけ長かったら退屈なだけなんですが、ひねっているので、長ければ長いほどトリップしてくるような効果が得られますね。だんだんとサイケな世界に連れて行かれる感じが気持ちいいです。

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